電子版

第40号
早稲田大学東久留米稲門会
  
   平成20年5月10日
   発行責任者  市川 英雄
   編集責任者  井坂 宏

   e-mail: w_higashikurume@nifty.com
    http://homepage2.nifty.com/35292/


会の告知板

      5月21日(水)   5月お誕生会    17:30〜     東久留米「鮮乃庄」
      5月25日(日)   ウォーキングを楽しむ会  9:30    東久留米駅2階改札口
              「JR新宿駅〜原宿駅周辺巡り」     
      5月30日(金)   映画鑑賞会     14:00〜     成美教育文化会館
               題名「めまい」
      5月31日(土)   春季六大学野球早慶戦観戦会
      6月 1日(日)   役員会       13:00〜     成美教育文化会館
      6月 1日(日)   講演会       15:00〜     成美教育文化会館
               講師 米光慶二郎(S36文 当会会員)
               演題「映画玉手箱−こぼれ話」
      6月12日(木)   散策山歩き部会                         
                「日和田山から高麗神社をめぐるハイキング」
      6月18日(水)   6月お誕生会    17:30〜     東久留米「鮮乃庄」
      6月27日(金)   稲門会/三田会親睦ゴルフ         玉村ゴルフ場



[大学・校友会関係]
○早稲田大学125周年記念事業募金
 東久留米稲門会として大学からの依頼額20,310,000円に対し、24,954,087円となり
 依頼額に対して122.9%となった。このため、大学よりゴールデンフラッグを授与された。
○2008年度は商議員、代議員の改選年に当たり、当会からは商議員に市川会長、菱山副会長、平山事務局長の3名、代議員に平山事務局長、安次峰事務局次長、山岡幹事の3名(1名減)を選出した。
 任期は2008年6月1日〜2012年5月31日。
○2008年稲門祭実行委員に塚越、橘の両幹事を選出した。
○4月20日(日)に開催された東久留米三田会総会に、市川会長、鮎貝幹事が出席した。
 総会に先立ち、慶應義塾大学渡辺靖教授による講演「アメリカ大統領選挙の展望」があった。
○5月25日(日)開催の西東京稲門会の総会に市川会長、菱山副会長が出席する予定。



[会の報告]

○平成20年東久留米稲門会総会
 4月6日(日)当稲門会定時総会が成美教育文化会館にて開催された。大学から藁谷友紀理事、桜井直子創立125周年記念事業事務局渉外担当副部長が出席、近隣稲門会、東久留米三田会からの招待者を含め68名が出席した。
 橘優治幹事の司会で進められ、総会に先立ち当会会員国米家己三氏による文化講演会が開催された。
 総会では、市川会長による来賓の紹介、及び大学創立125周年記念募金活動について、会員と市内校友の方々の協力により目標金額達成のお礼、並びに最近のいろいろな変動にしっかりと着実に対処して臨み、今後ともわが稲門会と共に皆さんと一緒にあゆんでいきたいという趣旨の挨拶があった。
引き続き、井坂副会長が議長に選出され、平成19年度事業報告、同決算報告、会計監査報告があり承認可決、続いて平成20年度事業計画、同収支予算案が承認可決された。
 最後に早稲田大学藁谷友紀理事、清瀬稲門会山本力也会長のご挨拶を頂き総会は終了した。
 会場を移しての懇親会は和やかな雰囲気の中、大いに交流を深め、いつものように大矢幹事の指揮の下、「都の西北」の大合唱で閉会した。

(出席者)○早稲田大学 藁谷友紀、桜井直子、○近隣稲門会 山本力也、岡澤晃一(清瀬)、西村 弘、山口 勝(小平)、三宅良太、風間和夫(東村山)、松尾良久、倉島 彰(西東京)、○三田会 佐藤柳次郎、山本栄一、○安次峰 暁、安宅武一、鮎貝盛和、安藤信雄、伊佐九三四郎、井坂 宏、石寺美弥子、市川英雄、伊東 毅、上原徹也、榎本幸子、小野泰石、大矢真弘、川上f一、川俣栄一、河村洋子、神田尚計、吉川明美、久家政裕、國米家己三、佐藤雄二、三田 三、白石春雄、末松 毅、高橋 勤、高橋哲男、竹山信保、橘 優治、辰巳徳蔵、塚越 崇、納見明徳、野田一博、比護喜一郎、菱山房子、平山正徑、福田 稔、別処尚志、帆角信美、本間信一、松崎 博、武藤 豊、村野建彦、森田 隆、森本博文、山岡恭子、米光慶二郎、池田孟夫、岡野幸子、加藤雄達、黒坂 斉、島田好多、大工原善夫、高井章夫、中島 宏、太田晴之助、山崎敬雄(敬称略)


会場入口の立て看板

来賓・会員を前に挨拶をする市川会長

懇親会は盛り上がりました

ゴールデンフラッグをバックに音頭をとる大矢会員

全員での大合唱が会場を盛り上げた


                  

文化講演会要旨

           「中国が"世界の工場"なら、日本は"世界のアトリエ"」
                            講師 國米 家己三氏  
                           (フリージャーナリスト、当会会員)


  4月6日(日)午後2時から成美教育文化会館 1階ギャラリーにおいて、第14回定時総会に先駆けて「第12回文化講演会」が開催されました。  (國米家己三氏による要約)


 

講演する國米会員
欧米モデルを追うことに懸命だった日本人が、近年、『日本人自身』に目覚めつつあるようです。
芸術系の大学がふえたり、企業のモノづくりが、従来の機能中心からデザイン重視の傾向に変化しているなどにそれがうかがえます。2003年、トヨタ自動車が『もてなし』『いやし』を今後の開発概念とすると発表したことはその典型ともいえるでしょう。工業社会、情報社会とつづいた文明世界は、次に感性社会へ発展するとかねてからいわれてきましたが、日本人はそれにぬかりなく対応しているとみることができます。また、中国経済が著しい量的拡大を遂げている現実に刺激され、日本人が自らの特質や立ち位置を真剣に考え出した結果の動きととらえることも可能です。
 もともと日本人は、すぐれて美意識の鋭い国民です。まず第一に、私たち社会のすみずみまで美意識がゆきわたっている点に注目すべきでしょう。『わが国のアマチュア画家の数は、他の世界のその総数を上回る』(故伊藤清永画伯)といわれるほど。美術展の入場者数でも他の国を圧倒しています。つまり、プロのアーティストばかりか、一般の会社員や主婦らが創作活動を気軽におこなうような風土があり、日本列島全体がアトリエのような感じになっています。 
 第二に、その美意識はひとすじ縄ではいかない。そんな雰囲気があります。本音を建前で包んでしまう。個性を人前にさらけ出さない。自らの本当の姿を露出するのはみっともないととらえるところが日本人の心情に底流しているといえそうです。ただ、死に臨んでは、潔く、貴く、かつ美しく自分の生を完結したい、と考える人が多い。太平洋戦争末期の特攻隊員の遺書をみてください。そこにはみなが『美しい祖国』『美しい日本の山河』という言葉を書き連ねています。敵に対するむき出しの憎悪などはほとんどありません。
 第三に、歴史的な長さも、私たちの美意識の特徴といえるでしょう。日本研究60年のドナルド・キーンは『数千年来、美に没頭してきた日本人』と記していますが、もっと昔、縄文以来の民族特性とみるべきではないでしょうか。縄文人の古い人骨は6000体ほど発掘されていますが、殺傷痕のあるのは40体前後。この列島の自然美のなかで、1万年余を獣ではなく木の実を主食としてきた縄文人は、力を信奉し戦いに明け暮れたユーラシアの民族とはちがって、静かに、また和やかに美や技能に生き甲斐を見出していたと思います。弥生時代を迎えて稲作とともに豚などの飼育の技術が渡来しました。しかし、奈良時代には養豚の痕跡は消え、肉食忌避は、実に明治維新までつづきます。今日でも日本人の一人当たり食肉消費量は欧米人のそれに比べ、4分の1から3分の1程度に過ぎません。
 そもそもは食性と民族性の間に深い関連があるとする考え方は、17、8世紀の実存主義系の哲学者たちが盛んに指摘したものでした。実際に、起爆力が強くパワーフルな朝鮮半島の人々をその食文化で説明することは容易なこと。いまは共産党政権による数々の規制下にあるものの、本来は至って奔放自在な中国の民族性も、グルメというか、悪食(あくじき)というか、その特異な食のありようと符合しているとみることができます。日本食の場合、またもドナルド・キーンの言葉を借りますが、『味覚体験というより美学的体験』であり、万事に美的追求を怠らない人々のものなのです。
 いずれにせよ、いつまでも欧米モデルを追っかけている時代ではなくなりました。いよいよ感性社会が、その幕を開くとすれば、日本人はユニークな美意識を軸に世界の主役として存分の活躍をする舞台を得ることになるのではないでしょうか。                         以上


○お誕生会

主役は誰でしょう

常連の中に新しい顔ぶれが新鮮です


○第26回ウォーキングを楽しむ会
 春爛漫の桜の花を賞でつつ、うららかな日曜日の楽しいウォーキングだった。
 土屋代表から久家代表に代わっての山手線ウォーク。第一回は高田馬場駅から新宿駅までの昔懐かしい場所−しかし今や面影なく、大小のビルが乱立しているが、区間には永年の歴史を伝える旧跡も少なからずある。
 一番の感銘は1601年(慶長6年)創建の高田馬場1丁目玄國寺。庫裡は明治の岩倉具視邸の一部を移築したという洋風建築で、その南側の中庭の小池を中心とした、しだれ桜の風景が美しい。住職夫人のソフトな応対とおいしい日本茶の接待は、最近の関東ではめずらしい。一同感謝して辞した。 
 最終は新宿花園神社、学生時代以来、久しぶりという人も何人か。
 打ち上げ会は、いつもの通り大いに盛り上がった。
                                     (市川英雄記)


江戸初期創建の玄国寺の門前で


食事時ははいつも賑やかで楽しい


○映画鑑賞会
 「めまい」Vertigo   5月30日(金)午後2時〜  成美教育文化会館
 原作はフランスの推理作家ポアロ&トマ・ナルスジャック兄弟がアルフレッド・ヒッチコックのために書かれた小説「死者の中から」と言われています。
 映画化にあたって、この題名では意味が分からないため「めまい」と改題し、舞台も風光明媚、異国情緒たっぷりなサンフランシスコに変えました。
 物語は、高所恐怖症の元刑事が友人から自殺志願のある妻の監視を頼まれ、尾行するうちに愛がめばえるが、女は投身自殺。傷心の彼はある日瓜ふたつの女を見かける。
 高所恐怖症を逆手にとった仕掛けの面白さと、尾行シーンのカメラワークが秀逸なヒッチコック絶頂時の45作目の第一級ミステリー。
 また、2役を演じるキム・ノヴァークの美しさは絶品である。
   主役   ジェイムス・スチュアート
        キム・ノヴァーク        
                              (米光慶二郎記)

部会だより

○囲碁部会
 今回は、第8回オール早稲田囲碁祭(首都圏)の開催についてお知らせします。
 日時は、平成20年6月7日(土)午前9時30分よりの受付で、場所は市谷日本棋院2階大ホールです。今年は、無差別クラスをもうけず、オールハンデ戦、会場を広げ300人(昨年は250人)位の収容が可能とのことです。級位者の個人戦も一段と充実されました。前回全勝者は1段級昇格が義務づけられており、当部会は3名の該当者がいます。厳しい対局が予想されますが、皆さん奮って参加されることを希望します。
 なお、早大囲碁会OB・アマ高段者(三浦浩他)の指導碁コーナーももうけられています。
                              (辰巳徳蔵記)
○俳句部会
平成20年3月16日  第93回句会     市男女平等推進センター
兼題 「春塵」 「すみれ」 「当季自由句」
 高得点句  3点以上
菜の花のそこだけゆれて隠れんぼ  松田 博雄
霾れる造り酒屋の鬼瓦            比護喜一郎
黄帽子の園児の列や菫草           三田 畔巣
弾き手なきピアノの上に春の塵        河村 洋子
一輪車少女ふわりと春の風          神田 尚計
霾天を睨んでマスクかけなおす        馬場 清彦
故郷の背戸母偲ばるるすみれ草        川俣 栄一
フランスパン抱えてパンジー見る少女     神田 尚計
病癒え少女の笑くぼ花菫           比護喜一郎
読み継ぎて源氏千年京の春          三田 畔巣
四分音符並ぶがごとくつくしんぼ       河村 洋子

平成20年4月20日(日) 第94回句会   平林寺吟行  
 高得点句  3点以上
仁王門見下ろす槙や春の風          神田 尚計
禅堂の扉を叩く木の芽風           松田 博雄
花冷えや板打つ僧の足白し          安宅 武一
それぞれの空を分けあい木々芽吹く      松田 博雄
花吹雪ほしいままなる古石塔         菱山 房子
街騒の遠く聞こえて春の寺          馬場 清彦
香華なき歴代の墓春落葉           三田 畔巣
知恵伊豆のいまおわせばと春の風       橘  優治
花しきみ石門ふたつくぐる墓         川島 知子
春曉や合掌の女指白し            比護喜一郎



○太極拳の集い
 4月5日(土)総勢20名、稲荷山公園で

桜は写っていませんが満開でした
満開となった桜吹雪のもと野外稽古を存分に
楽しみ、持参した寿司折をひろげ、春の一日を満喫することが出来ました。 昨年3月再生した「東久留米稲門会太極拳を楽しむ集い」は皆様の協力を得て再出発致しました。
(松崎 博記)








○グルメ部会
 太田部会長企画による『下町名物「土手の伊勢屋」の天丼と浅草演芸ホールで落語を楽しむ集い』が3月28日(金)参加者9名にて行われた。
 「土手の伊勢屋」は外観が江戸時代風の建物で、内部は格子戸、古い柱時計等があり下町の雰囲気が十分感じられた。天丼は天ぷらが盛り沢山で、「たれ」は濃い色をしているが、味は淡白で大変美味しかった。店を出たときに、表に30人位の客が並んで待っていたのにはおどろいた。
 次の演芸ホールへ行くのにはタクシーを予定していたが、天気も良く桜もちょうど満開だったので、のんびり皆で歩いた。途中でハプニングがあった。

外で待っている人がいる位盛況でした
道に迷った外国人女性(30代?、40代?)
に出会った。まず、勇気のある人が、どこへ行くのか聞いた。(もちろん英語です)なかなか行先が判明しない様子のあと、別の人が英語で話しかけた。この女性がドイツ人だと分かり三番目の人はドイツ語で話しかけた。(東久留米稲門会には国際人が何人もいることを再確認した)彼女の行先ホテルも分かり、方向違いのホテルまで全員で
送り届けた。(親切なのか、物好きなのかは分かりません) 浅草演芸ホールは平日にもかゝわらず 満席で、立ち見だったので少々疲れたが、舞台と客席とのやりとり等がなごやかな感じで良かった。
 美味しい食事と笑いの落語、加えて外国人女性の道案内と満開の桜と盛り沢山の楽しい一日だった。
          (森田隆記)



○芸術鑑賞会
 早春の寒さの残る3月4日(火)、当会の芸術鑑賞会の第2回として、ルネこだいら大ホールで日本フィルコンサートを20名の方々と観賞しました。この日のプログラムは
 チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
 チャイコフスキー/交響曲 第6番 ロ短調「悲愴」
三大協奏曲の一つとして誰からも親しまれており、また「悲愴」はチャイコフスキー自身が「自分の最高傑作になるであろう」と書いたと言われる作品で、皆様楽しんで観賞していただけたと思います。アンコール曲のダニーボーイを大川さんは後日、当会の句会に「春愁やダニーボーイが心に染みる」と詠まれて発表してくださいました。
 次回の第3回芸術鑑賞会は7月18日(金)ルネこだいら大ホールで開催されます「中村紘子トーク&コンサート」と題しますコンサートへお誘い致しますよう準備をしました。別紙をご覧いただき、前回同様ご参加下さるようお待ちしております。
                                     (菱山房子記)



会員リレーエッセイ〉〜噴水広場〜

                 雑    感
                         比護 喜一郎(37年 商卒)


 今は安曇野市と言って格好良いが、私の少年の頃は茅葺やトタン屋根の商店が立ち並ぶ"塩の道"沿いの細長い小さな町であった。今は当然すっかり変わってしまったが、古希を迎えて職を退いたのを機に両親の墓参りに帰省したとき、往時の風情、生活模様が沸々と蘇り、古希という節目がそうさせたのであろうか、妙にノスタルジックな気分に襲われた。そして、私の70年の人生が、好むと好まざるに拘わらず、この地が源泉となって展開されていることに改めて気付いたのである。
朝な夕な見る北アルプスの連山は四季を通していつも美しく、いつも何かを語りかけているように思えた。中でも家の正面に見える常念岳はその山容といい、陰影といい実に見事で、私の最も好きな山のひとつとなった。絵にも描いたし、勿論幾度も登山もした。
就職の面接試験で恰幅の良い人事担当重役が「君の趣味に絵画とあるが、どんな絵が好きか」と聞いてきたものだから、躊躇なく「ゴッホでも、ピカソでもなくセザンヌの絵です」と答えた。面接試験場の壁にゴッホやピカソらしき絵に並んでセザンヌの「セント・ヴィクトワール山」の額絵があった。セント・ヴィクトワール山はその山容が常念岳に似ていたことから、宿題などで風景画を描く時の手本にしたこともあって、この絵には親しみがあり以前から好きだったからである。当の重役が後で話してくれたが、「君を合格させたのは、君の内申書の履歴でも成績でもなく、あの時の君の返答振りであった」と言われ、合格は高成績のせいと決め込んでいた私の独りよがりを寸時に粉砕した。余談になるが、「孟母の三遷」ではないけれど、遊び呆けていたこれまでの生活態度を一新して大いに学ぼうと大隈講堂の裏手に下宿先を移したものだが、教室にも雀荘にも近過ぎていつも麻雀の面子に借り出され、返って学習時間が減っていた。試験期などでは、三畳一間の下宿の雨戸を閉めて居留守を装ったものだが、その雨戸に小石を投げつけて呼びつける輩もいて余り効を奏さなかった。成績がよかろう筈は無かったのだが、志望する商社に入社出来、半生を無事過ごすことが出来たのは正に子供の頃から親しんだこの常念岳のお陰であったと言えるかもしれない。啄木ならずとも、"故郷の山は有り難きかな"である。
山好きな父親にも付き添われて繰り返し山登りをしていたせいもあろうか、足腰は丈夫な方で、ここ10年位、毎月一回登山を楽しんでいる。幸い早稲田に、会社に登山好きな仲間に恵まれたし、当稲門会の散策山歩き/ウォーキング会もあってアシックスの登山靴は休まる時が無い。
 よく母親に「お前は安上がりだ。ご馳走する張り合いがない」と揶揄された。中学生の頃から麺類就中ラーメンが大好物で、何かにつけてラーメンを所望した。とりわけ母親のつくるラーメンは格別で帰省の度に何杯もつくってもらった。古希を迎えた今でも週に一二度はラーメンを食べないと口寂しい思いがする。旨いものがふんだんにある東京だが、少年期に覚えた嗜好は何時までも消えることがないのだ。
登山といい、ラーメンといい子供の頃に身に付いた習性・性癖・嗜好は源流を離脱していない。
ある当稲門会の先輩に「女系家族に生まれ育ったでしょう」と言い当てられたことがある。私の身辺にそう感じさせる何かがあるのだろうか。確かに7人家族で男は親父と私だけ、その上縫装業を営む我が家に数名の女性の職人さん達がいた。灯火管制の下で彼女等が泣いたり、笑ったり、唄ったりしていたことを今でも鮮明に記憶している。母親は仔猫が死んだ時オイオイと泣いていたし、美輪(当時丸山)明宏の"よいとまけの唄"を聴いてはいつも涙ぐんでいた。これも子供の頃の生活環境からくる性格形成がなせるものだろう、古希を超えた今、以前にも増して涙脆くなって何かにつけて涙する。稲門生の集まりで「都の西北」を歌い、禿や白髪の後期高齢者の嬉しそうな顔などを見るともうダメである。先日などは人情落語を聞いて、随所にハンカチのお世話になった。蛇足だが、過活動膀胱症候群にもトイレに通う頻度にも関わっていると勝手に思っているが、加齢に伴う毛細筋肉の弛緩もその一因となっているに違いない。
DNAもさることながら、偶然も伴う(天命と言った方が的確かも知れない)子供の頃の生活環境が人の生き様、運命を大きく左右していることが随所にあることを改めて痛感する。人生の源流は幼年期を育む自然環境にあり、社会環境にあるのだ。
ピカピカの一年生の登校姿を見るにつけ、この子らのためにも諸事環境を整えなければならないと思う昨今である。


東稲広報室

○新入会員紹介
 以下の4名の方を新しく会員にお迎えしました。新会員には今後、当会ポストマン制度による地域担当のポストマンによって、2ヶ月毎に発行される「東稲ニュース」の他、楽しい催し物の案内チラシ等が配達されます。

尾崎 汎    S25 旧文     八幡町2丁目
高橋昭康    S26 旧高工   氷川台2丁目
山縣俊夫    S58 理工    中央町1丁目
宮本啓子    H12 文      学園町2丁目

○新年度会費未納の方が20名ほど居られます。お心当たりの方はお手数ですが、早急にお振り込み下さいますようお願い致します。    事務局より

(編集後記)○去る4月6日(日)第14回東久留米稲門会総会が開催され、今年の事業計画等が了承された。事業計画の基本方針で示された会員相互の親睦にこの東稲ニュースが役立つよう、編集委員一同心も新たにしたところである。○ゴールデンウィークも終りましたが、皆さんはどう過されたでしょうか。編集子も新緑の美しい一日薬師寺展を見に行き、日光・月光菩薩の有難いお姿を、普通では見られない位間近で拝むことが出来た。新緑をまとひ濁世に立ち給ふ(井坂)