『甲州街道を歩く』第11回 (11月5日)【石和温泉→甲府→竜王】
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今回は、いよいよ甲州道中(江戸時代の名称)の主要地である甲府に歩を進める。総勢9名(男5、女4)でJR石和温泉駅からスタートした。60年近く前に畑地に開かれた温泉場だけに、駅から綺麗に整理された道路を約1㎞歩き、甲州道中に入る。甲府が間近とあって、街道は店並も揃ってきて、街に入ってきていることが分かる。摩利支天尊堂にて休憩をとったところ、丁度、青梅街道追分の交差点があった。内藤新宿で甲州道中から分れ、青梅、大菩薩峠を経て再び甲州道中に合流する両街道の出会いの場であり、「鶴川の渡し」を避ける人々が利用したという。歩みを進めてJR酒折駅に近い辺り、正月の駅伝で有名な山梨大学の近代的な建物とキャンパスが迫ってきて、いよいよ甲府の街に入ってきた感が強くなる。更に進んだ街中にある天正十年(1582)創業の印傳屋では、買い物での物色に勤しんだ。現在の甲府の中核をなす「甲府柳町」の中心に至り、甲府駅に続く大通りを散策しながら、昼食をとるべく「甲州ほうとう」の店を甲府駅近くに見出した。昼時の混雑の為食事に1時間近くを要したが、山梨名物にふうふう言いながら舌鼓を打った。
甲州海道(当初はこう記し、後に甲州道中となった)は、徳川家康が生命線と考えて作った道である。江戸城に危機が迫った際、服部半蔵の手引きで、江戸城半蔵門から甲州海道に入り、内藤新宿で「百人組鉄砲隊」、八王子で「千人同心」を従えて甲府城に入り、富士川の舟運で一気に駿府に抜ける主要路とした。従って、江戸時代の始めは甲府迄の道が整備され、後に下諏訪まで延長されたものである。この歴史を鑑みると、今回の甲府到着で甲州街道を歩く目標の第一は成し遂げたとも言える訳で、一同、或る意味での達成感に浸ったものである。
ほうとうの美味の余韻が残る中、甲府の中心、県庁、市役所のある大通りを散策しながら、次の竜王駅を目指す。途中にある文殊神社に、芭蕉の「物言えば唇寒し秋の風」の句碑を訪ねたが、捨て去られたような有様で、句の有名さに対して思いもよらない句碑の扱いに、心痛むことを禁じえなかった。
竜王新町交差点でウォーキングの切り上げ組が分かれて、JR竜王駅から帰路についた。残りの男5名であと4㎞超先にあるJR塩崎駅を目指した。中央高速道は甲府昭和ICを過ぎると双葉パーキングに向かって急坂になるが、双葉パーキングに隣接して通る塩崎駅への道も、これまでの平坦な道とは異なる相当な急坂であった。坂を登り切った後は、古い街道の名残を感じさせる街並みがある一方で、最近の道路開発とごちゃ混ぜとなった風景もあり、複雑な思いをしながらの最終駅到着であった。帰りの電車では、大月までは乗客が少ないこともあり、甲府駅で買い込んだお酒を楽しむ内に、中央線特別快速への乗り換えとなった。 部会長 東海俊孝記
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