陶  芸  三田 三 33年政経
             私の名前について:名前をクリックして下さい
     東久留米稲門会会報「杜の西北」9号
             平成15年3月掲載記事 
  トホホの陶芸
           
20年ほど前からやきものに惹かれるようになった。やきもの好きの目線は次第に時代を経たもの、古いものに移りやすい。
そして手許に集まったのは見事なばかりの駄物と贋物。
そんな一昨年の春、市の広報紙で陶芸教室の欠員募集をみつけ、よし今度は自分で作ってみようと早速入会させて貰った。
 土は地球創生期の火成岩が長い年月の間に風化され、粉砕されて微粒子になったもの、その中で可塑性に富んだ土を水で練って粘土とし、生活に役立つ形に成型して火を加えると土は再び元の岩石に還る。これが陶芸の原点と聞くと何となくロマンさえ感じられて楽しい。また粘土遊びは古希近い男にも童心を甦らせてくれる。
造形した粘土は暫く置くと中の水分が蒸発して適度な固さとなり、削り、彫刻、貼付、象嵌などいろいろな細工が可能となる。5、6日置くとコチコチになり、これを素焼きにした後、ガラス状に溶けやすい成分を混ぜた釉
薬を掛け、1250度前後で本焼きすれば一応陶器ら
しいものは出来上る。
  この釉薬に微量の鉄、銅、コバルトなど
  の金属を加えると焼成時の熱量、時間、
  酸化か還元かの焼き方によって金属は様
  々に化学変化して発色するが、ここは化
  学と炎が複雑に絡み合って演出する舞台
  で素人の介入はまず受け付けてくれない。
  造型、彫刻、絵付けなど多様な技術と感性
  が問われ、最後は専門家でも炎に祈るとい
  う恐ろしく奥深い世界だということだけは
  判ってきた。
   よく土練り三年、轆轤十年などといわれ
  るが先行き長くない男にそんな悠長な時間
  はない。いきおい何もかも未熟なまま窯に
  放り込むことになる。こんな新参者にいき
  なり祈られても炎は当惑するらしく期待と
  は似ても似つかぬ姿の作品がお出ましに
  なる。
   それでも機械が自動成型し、プリントで
  絵付けされた量産品と違い、こちらは世に
  二つとない代物。不恰好でも自作の徳利と
  盃で酌む酒の味はまた格別と一人で納得し、
  慰めている。


白磁花文彫瓢形水(酒)注
北宋時代の「青白磁瓢形水注」の形を真似ました。本物は胴部分に見事な
彫花文があります。(h14cm)



白磁花文彫蓋付水(酒)注
中国北宋時代(11c)の官窯水注を真似て作って見ました。蓋の上の抓みは
鳥のつもり。本物は獅子で全体にもう少し大きく、
出光美術館が所蔵しています。(h14cm)

青磁水注
青磁釉を霧吹きで吹きつけて焼きました。
表面が柔らかく感じられるようです。(h15cm)

白磁獅子蓋付僧帽壷
明時代(15c)の「白磁僧帽壷」の写し、蓋の上の抓みは獅子のつもり。
当時の僧侶の帽子の形に似ているため、この名がある。(h13cm)

花文水注
土は信楽の荒目です。絵も色も見るからに稚拙です。(h13cm)


青白磁花弁文彫花瓶
朝鮮高麗時代の青磁象嵌瓶の形だけを拝借しました。
首部の小輪は飾り。(h17cm)


織部釉花
北宋時代の青磁花瓶の形だけ真似ました。本物は大型で
東博に幾つかあるはず。これは青磁ではなく織部です。(h17cm)

飴釉花盆
北宋時代の紫紅釉花盆の姿に惚れ、真似てみました。花瓶の
一種でしょう。(h8cm)

織部手付き皿
焼きあがったら手付き部分と皿部分の収縮率が違うためか
円形の皿が楕円形に歪んでしまいました。(h12cm)

白磁銚子
お屠蘇の酒注ぎのようなこの形を銚子と言うようです(h14cm)



白萩釉湯呑み
模様はその部分だけ釉薬が付かないように撥水剤を
塗って表現しました。最も簡単な方法です。(h7cm) 

急須(焼きしめ)
赤土で釉を付けない焼きしめです。(h10cm)


香炉 (h10.9cm)

瓜形酒器 (h12.6cm)