会社はいろいろ、社長もいろいろ   
 

  第14回雑学塾−要約   
   
  講師 酒井 正敏氏

    
三和経営研究所所長
    中小企業診断士
      当会会員
     56年文

      

     
平成16年10月3日
     
東久留米市中央公民館
 

  現在三和経営研究所所長として実業界で活躍中の酒井正敬氏(昭和13年生まれ)に登場願い、経営コンサルタント業42年間で約500社の企業を指導して感じた「会社はいろいろ、社長もいろいろ」を、実例に基づいてわかりやすくお話しいただいた。冷たい雨が降る日だったため参加者の出足がことのほか悪くいつもよりも半分以下の参加者しか集まらなかったが、参加者は示唆に富む講師の話に熱心に聴き入った。講師は日本初の採用コンサルタントとして高い評価を得ており、今までに44冊の著書を刊行している。最近では「日本一の採用プロが教える『転職・再就職』絶対に成功する本」を昨年8月に三笠書房から出している。

 ○景気が悪い本当の理由
 1990年のバブル経済崩壊後景気が回復せずに低迷している。例えば、外食産業の売上高は売り場面積が30%も増えているのに最盛期と比べて2兆円も減っている。その理由はこのところ日本の人口が増えていないというところにある。2050年には人口が8050万人に減るとの推計もあり、これからはこの現象が景気に重大な影響を与えるのは確実だ。
 ○会社にも寿命がある。
 会社には人間のように幼年期、少年期、青年期、壮年期、老年期の5段階があるが、青年期までの30年の間に大半の会社が消えてなくなる。壮年期まで来た会社は面白い。壮年期の会社はおしなべて足腰がしぶとい。
 ○会社はドラマ
 会社経営は人間のロマンだ。成功した会社は単なる儲け主義ではない。世のため人のため社員のために使命感を持って運営されている。
 ○会社には百社百様の違いがある。
 会社は社長次第だし、社長の信念、個性がもろに出る。会社が特徴ある形で存在感を持つのは壮年期をいかに長く維持できるかがポイントだ。
 ○会社の運命は社長の能力と運で決まる。
 社長のタイプは大きく、@武田信玄型(意志型)A織田信長型(理性型)B豊臣秀吉型(情緒型)C徳川家康型(感情型)D繊細型(2、3代目に多い)、の5つに分けられる。どれが経営者として最適かは性格のみでは決められない。すなわち人間の能力とは性格と知能指数で決まるからだ。それにプラスして運がいいという面は特に大事だ。私は採用に立ち会う時に運のいい人を採用するようにしている。
 ○社長は「明るく元気で、遊び好き、欲が深くて、いいかげん」が成功する。 
 ・「明るく元気で」とは、読んで字の如く明るくて元気なことだ。つまりプラス志向の人ということだ。
 ・「遊び好き」とは、仕事だけでは体を壊すから、社員から尊敬される趣味を持つということだ。
 ・「欲が深くて」とは、がりがり亡者の意味ではなく、お客さま第一、社員のためを考えて、仕事に意欲的に熱心に取り組むということだ。 
 ・「いいかげん」とは、バランス感覚が大切だということだ。

 ○21世紀の会社はどうなるか。
 人口減に対しどう対応しどう手を打つかだ。今までの「ゼロサムゲ−ム」から「アップサムゲ−ム」の考え方が大切だ。強い会社だけが生き残るし、国際競争力の強い会社だけが生き残る。「ダウンサムゲ−ム」に巻き込まれた 会社は消滅してゆく。