わがまち東久留米の残すべき原風景と残せる可能性
                     佐藤 雄二  37年理工 会員  
                       
  8月4日(日)中央公民館で当会主催第5回雑学塾が開催された。講師は当会会員で、現在「東久留米の水と景観を守る会」の代表を務める佐藤雄二氏。演題は「わがまち東久留米の残すべき原風景(林、畑、川、湧水)と残せる可能性」。一般市民を含めた40名前後の参加者を前に、東久留米をこよなく愛する講師が市内をくまなく探訪して撮影したスライドを使って、残したい原風景を映写するとともに、どうしたらこれら貴重な風景を残せるかを具体的に解説した。

 講師は、東久留米市に住んで28年、このまちを気に入っていたが、宅地化の波が押し寄せ、大切な林などが突然急に切り払われるというような自然環境破壊や景観損傷の事態を目にして、残念な思いをするとともに、何か残す方法はなかったのか、最善の方法が駄目だとしても、次善,三善の方法があるのではないか、さらに、これからでも同じようなことが起きる可能性があるのだから、環境破壊や景観損傷を少しでも食い止める手立てを考えてみてはどうかと思い立ち、仕事に余裕ができた昨年秋あたりから、足を使って市内を歩き回って、この問題について調べたり、考えたりしてきた。今回はこの中間報告という形の講演となった。
 講師は、まず1週間程市内を回って、前々から残したいと思っていた風景をスライドに撮ってきた。東久留米市の地形を形成した黒目川とその支流の落合川、野火止歴史環境保全地域、金山や南町などの緑地保全地域、小山遺跡公園、柳窪、竹林公園周辺などを撮影したスライドは42枚。講師はこれらのスライドを使って、残したい風景をスクリ−ンに映し、解説を加えた。

 次に、講師は、これら風景を残せるようにするにはどうしたらいいかを具体的に説明、まず、残したいという共通の思いを顕在化させる手段として、名所絵はがきや各種パンフレット・マップの作成、写真展や風景100選展開催などの重要性を説いた。次に、残すべき具体的な手段として、1番目に既存制度の活用を取り上げ、東久留米市の「みどりの基金条例」の活用、「みどりに関する条例」に基づく保存樹木・保存生垣の指定、「東京における自然の保護と回復に関する条例」の活用、農地の生産緑地指定などの具体例をあげた。2番目に新制度・新計画の実現、問題のある計画の変更を求める努力の大切さを掲げて、樹林地の相続制度の改正、東久留米市が「緑の基本計画」の中でうたった湧水復活策の実施、落合川修復工事計画の変更(直線化工事の修正)、貴重な緑地を寸断する道路計画の変更などを提案した。そして最後に、市民ボランティア、特に、年金生活に移行し、支払う税金が減ったものの、まだまだ元気な熟年層のボランティア参加の重要性を強調して、講演は終了した。