『甲州街道を歩く』第14回(4月15 & 16日)富士見➡上諏訪➡中山道合流点

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【4月15日(月)】
1週間前から小雨の予報で、実施か否か気を揉んでいた中、直前になって晴の予報に変り、総勢10名(男5、女5)は勇み立って、甲州街道の最終地点を目指して東久留米を出立、立川から特急あずさ3号に乗り中央本線富士見駅に降り立った。標高956mにある駅では、東久留米の春の感触は何処へやら、1桁台の気温に加えて強い風に見舞われ、思わず身をちぢこませた。
初日の行程は茅野駅迄の15㎞である。旧街道(甲州道中)は、比較的平坦な国道20号を縫うように沿って続いている。今に残る小さな集落を通り、畑や田圃、山裾の林を抜けるという様相で、名所旧跡はないが、自動車が多数走る車道脇の狭い歩道を歩くことに比べると多少の上り下りも気にならず、日常の雑踏を逃れて、穏やかな、伸び伸びとした感じを覚えながらの歩きを楽しむことができた。「原の茶屋」を過ぎ、畑中にポツンと在るJR「すずらんの里駅」を遠望しながら「御射山神戸(かんべ)」の一里塚に至り、樹齢400年の欅大木の下で休憩。金沢宿跡まで進んで、往時宿場窓口を担った泉長寺の一隅を借りて昼食をとった。「矢ノ口」の権現の森を過ぎて宮川沿いに進むと「寒天の里」の大看板に出会い、この地が寒天の名産地であることを思い出した。中央本線の跨線橋にある「貴船」の石仏石塔群で休憩し、「宮川坂室」を過ぎる辺りでは白雪に覆われた八ヶ岳の眺望に目を奪われている間に、茅野駅は指呼の先にあった。15㎞が短く感じられた1日であった。
茅野駅から上諏訪迄電車に乗り、今日の宿泊先「諏訪シティホテル成田屋」へ。途中、上諏訪駅にある足湯の気持ち良さに、一同の疲れが癒された。夕食迄の時間を利用し、近くにある、当時の諏訪湖波打ち際に築城された高島城(高島藩諏訪氏の居城)を散策。明治期に破却されたが近年復興され、大手門、天守閣、庭園が昔日の美しい光景を再現していた。
夜は、ホテル近くで、甲州街道最終地点到達を目前に、祝杯を挙げた。
御射山神戸の一里塚貴船の石仏石塔群上諏訪駅構内の足湯高島城(上諏訪)大手門_1高島城(上諏訪)_2
【4月16日(火)】
昨夜から1名増の11名となった。甲州道中終点(中山道合流点)を目指して、茅野駅迄戻り甲州道中を歩く組と上諏訪周辺を散策してからの2つの組に分かれて行動を開始、両者は上諏訪駅から近い銘酒真澄の店で落ち合うことにした。
茅野駅では、駅の真ん前(建物の蔭)に建つ諏訪大社上社大鳥居に至るのに大迂回をしたハプニングを経て、暫く20号線の車道脇の狭い歩道を歩き、甲州街道渋沢小路から旧街道(甲州道中)に入る。山裾に沿った、住宅が建つ中を辿る往来の少ない道で、快晴の日差しを浴びて家の合間から茅野市街を見下ろす眺めが素晴らしかった。山の上で行くことは出来なかったが、諏訪総領家の諏訪頼重が信玄に攻められて籠城、降伏した(諏訪氏断絶に繋がる)桑原城址を、歴史の一齣に思いを馳せながら、見上げ、眺めながら歩いた。
上諏訪に入ると酒造蔵が多く並んでおり、その中の一つ銘酒真澄に立ち寄る。以後の歩きに配慮しながら、醸造法、味、香り、飲み方の解説付きで、五種類の利き酒を楽しんだ。他の酒蔵も訪れたい思いを断ち切り、次に向かう。4月1日に幸手で花見を堪能したが、直ぐ傍にある貞松院月仙寺では、市の天然記念物「延命桜」と名付けられた樹齢400年の枝垂桜が満開となっており、整えられた庭に花が降り立つ美しさは、極楽とはこんな所かと、真摯な仏教徒ではない身でも、美の極致に感動を覚えていた。
  眺むとて花にもいたく馴れぬれば 散る別れこそ悲しかりけれ 西行(山家集)
甲州道中は、山裾の高台を下諏訪に続いている。古事記の国譲りでこの地を統治した際の被征服者を祀った先宮神社で神殿脇に鎮座する市の天然記念物大欅の下で休息。引き続き終点(中山道との合流点)を目指して坂道を登るにつれて、眼下に薄青く広がる諏訪湖を眺めるようになり、暑さと疲れを覚えてきた頃、漸く諏訪大社下社に辿り着いた。折から昼飯時とて、門前の蕎麦屋に入り、地元名物である蕎麦で腹ごしらえをした後、下社を参拝。
終点は近くにあると聞いていたものの、明確には知っていなかったので、歩き回って探したところ、門前から数分の所に終点の石碑とチョットした広場を発見。平成29年10月から3年越しで挑んできた思いとはかけ離れた感が否めない、細やかな雰囲気の場所ではあったが、一同、目的達成を記念して写真に納まった。
東久留米に戻った後の恒例の打ち上げは、昨夜の酒宴と2日間の歩きの疲れの為に見送りとした。                      東海俊孝記
IMG_1557諏訪大社下社_2諏訪大社下社_1甲州道中終点の石碑IMG_1568
追記:「甲州街道を歩く」は、内藤新宿からスタートしたが、本来の日本橋からの都心コースを歩く要望が多く、5月13日に実施することとした。